先人に思いを馳せて
- Takebe Yuta
- 2021年10月28日
- 読了時間: 3分
最近は入荷ラッシュやらお取り扱いさせていただいてるブランドの受注会など、バタバタとしており、ブログの更新をサボりがちでしたが、なんだか楽しみに待ってくれている方も多かったみたいで、重たいお尻を拳骨創造のデザイナー・大谷さんに叩いていただき、ようやく復活です。
この秋冬はASOBINoBAの移転をキッカケにお取り扱いのブランドやアイテムも増えたり、僕の我儘なんかも聞いてもらい別注アイテムが誕生したりと、本当に楽しく刺激的な日々を送っております。
秋冬の入荷のピークも終えて、ゆっくりとマイペースにブログも再開しようかなと思っているのですが、まずは拳骨創造の21年秋冬"真夜中哀愁唄"で用いられた"蝋引き"という加工についてお話ししていこうかなと。

そもそも"蝋引き"とはなんぞや。。
という方も多いでしょう。
心配しなくて大丈夫です。
僕はこのコレクションで初めて見ましたので。
この加工に近しいものだと、イギリスの某ブランドのオイルドジャケットが比較的身近なのかなと思います。
一般的には生地の表面にオイルを塗り込み、それに伴って表面に光沢だったり、保温性、防水性だったりを持たせ、生地をより頑丈な物にしていくという、昔ながらの知恵の詰まったローテクニックな技法なのです。
これによって寒い厳しい環境を乗り越えてきたといいます。
今では便利な時代なので、薄いゴムを生地に引いたゴム引きだったり、ゴアテックスといった非常に機能性の高い物も多く誕生し、蝋引きは日の目を見ない加工になってしまいましたが、、、
この蝋引きのコレクションに出会って、やっぱ現代の技術ってすげぇなぁと思うと同時に昔の人達の知恵ってすげぇなぁと思う訳です。
そんなことを思わせてくれたコレクションなのです。
そして僕がこのコレクションで買ったアイテムはこちら。

ハードな印象でカッコいいですよね。
ファブリックと加工の提案はもちろん面白いのですが、腰回りが後ろ高にカーブを描く骨組みだったり、サイドに大振りなポケットだったり、ダブルニーだったりと大谷さんの拘りは忘れてはいけませんよ。(僕はタバコは吸わないので使ってはないけど、シガレットポケットまで)

決して使いやすい加工ではないですし、洗濯だったり保管も気は使うのですが、季節や気温が変わるととも気温の変化に合わせて、蝋を引いてより保温性や防水性を高めたり。
何より表情が唯一無二で、履いてると"それデニムですか?"とか言われたり、遠くから見るとブライダルレザーのようにも見えたりと不思議な迫力があるのです。
僕は自転車で通勤をしているので、チェーンに引っかかっても負けないよう、右足の裾周りをよりカチカチになるよう贔屓目にワックスを塗ってみたりしております。
(そうそう、ちなみに裾にはドローコードが仕込まれているので、自転車乗りな僕との相性はバッチリなのです。)
あと所々ワックスでお絵描きしてみたり。笑
(融点は60度程度との事なので、ドライヤーで熱を加えると表面に乗っていたワックスが染み込むので、絵心のない僕でも安心して夢中に塗り塗りできます。)

本当に手の掛かる(つい、手を掛けてしまうが正しいかもしれません。。)生地だなぁと思いながら、私物の放浪パンツを愛でているのですが、幾度と表情を変えてくれるこのファブリック。
気がつけば愛着たっぷりの1着に。
この技術を用いて厳しい環境を耐え抜いた先人に思いを馳せながら、冬に向けてこれからもまた塗り込むのです。

ちなみにASOBINoBA別注のKhakiは蝋引きが0の状態からのスタートになります。(その分少し買いやすい値段になっております。)
Blackは①と思ってもらえればと。
生地はもちろん加工でより丈夫なものになりますし、コットンなのでリペアやカスタムも行えるので、
5年、10年と長い年月をかけて、自分だけのヴィンテージにしてみてもらえれば嬉しいです。
タケベ
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