PORTVEL (ポートヴェル)2019年春夏コレクション "LIFE OF SPACE HABITAT"
- Takebe Yuta

- 2018年9月14日
- 読了時間: 3分
PORTVEL (ポートヴェル)が2019年春夏コレクション "LIFE OF SPACE HABITAT"を発表した。

シーズン No. でもある「SIDE 9」という架空の宇宙居住空間の生活者をテーマに構想を広げたコレクション。
「SIDE 9」のモデルは SPACE HABITAT である。 SPACE HABITAT とは、1969 年にプリンストン大学のジェラルドオニール教授によって提唱された人工的な居住空間であり、 そこにおいては宇宙にありながら地球と同じような環境が再現される。 重力によってリンゴは木から落ち、四季がかわるがわる到来する。 そして、爽やかな晴れの日があれば憂鬱な雨が降ることもある。
そのような SPACE HABITAT において、人間はどのような衣服をまとうのだろうか? その想像を膨らませ、仮定と理想、そして現実との狭間でバランスをとることにより、新しいプロダクトを創造したのが 今コレクションである。
技術の進歩により「機能」は進化しており、今では普通の服でも何かしらの機能が備わっている。 今回のコレクションで採用した「Loro Piana Rain System」はそれを体現した素材で、糸に撥水加工したあとに生地として 織りあげることで、見た目はスーツ地の表情だがそこには撥水と言うスーツ地の見た目からは想像しづらい機能を備えている。
「機能」という言葉は機能性素材に象徴される「機能性」を連想させがちだが、我々が掲げる「機能」においては「機能性」は 1 つの要素にすぎない。 袖を着脱できるシャツやカットソー、ポケットの中にさらにポケットを内包してそれを出し入れすることで機能と見た目を変化 させることができるベスト、ポケットの着脱および配置を自由に決められる PALS(Pouch Attachment Laddar System) を採用した コートやシャツなど、それぞれ「機能」でありながら、機能性だけでなく装飾性、さらに自在性を備えており、 それこそが PORTVEL の服が備える「機能」の特徴である。
今シーズンにおいては、アイテム自体が説明書のような役割を果たしている事も特徴的である。 機能としてのギミックを備えた箇所にはごく簡単な注意書きがプリントされており、それによって「ここに何があるのだろう?」 とユーザーの興味は高まるだろう。 この注意書きは単に機能を説明するだけではなく、装飾としての視覚的な効果も与える役割も果たしている。
もし今、SPACE HABITAT で生活していたとしても、我々は想像すらつかない格好をしていることはないだろう。 情報共有の均一化により、もはや宇宙ですら地球と同じ時間軸で情報が手に入る。なにより、人類が長い歴史で築いた 地球でのアーカイブは、宇宙という異空間にあっても新しいものを生み出す源であることに変わりはない。
一方で新しい環境において変化をしないということもない。 宇宙では地球とは異なる形で機能が進化していくであろう。 地球のアーカイブを参照しつつ、そこに宇宙ならではの機能の進化を反映させることで、地球とは異なる SPACE HABITAT での新しいファッションが生まれるのだろう。
今コレクションは、ブランドのフィロソフィーでもある「Heritage & Newage」を、SPACE HABITAT という架空の空間 を借りて表現したものである。 しかし、そこに反映されている機能は現実のものであり、機能性、装飾性、自在性という PORTVEL の持つ機能の特徴を「架空」 というフィクションによって引き出しすことで、まさに新しいファッションを描きだした。
























































































コメント