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時間という奥行きがあるモノづくり。HANSという京都の手仕事。

3 日前
読了時間: 9分

こんにちは。


ASOBINoBAのタケベです。

9月に入ってから、怒涛の入荷ラッシュ。

アイテムの紹介が、とても追いつきそうにありません。笑


それでも、書きたいことについては、しっかり書いていくスタイルで。


今日は、個人的にもかなり楽しみにしていたHANSの新作について。


まずは、このデニムから。

ちなみに今回、通常のサイズ展開にはない“幻のSIZE 5”も作っていただきました。

はい、僕用です。

職権乱用、悪しからず……。

どうしても穿きたかったんです。お許しください。笑

引き摺ってすみません……私物です。




まずは、

▪︎HAND STITCH COVERALL JACKET




▪︎HAND STITCH 5 POCKET WIDE STRAIGHT PANTS



新品なのに、どこか懐かしい。

単純に古着のような加工がされているから、というだけではなくて、

誰かが長い時間着続けて、破れて、直して、それでもまた着て。

そんな時間までもが一緒に残っているようなデニムです。

今回のデニムでモチーフとなっているのが、野良着などに見られる「補修跡」。



カバーオールに施された、手刺し子によるハートモチーフの刺繍。


ステッチの幅も揃っていなければ、糸を引く力も一定ではない。

でも、その不揃いさが妙に格好良い。


この少しでいびつな、でも温かみのある表情が、僕の癖にブッ刺さります。。

機械では出せないこの不均一感が良いのです。


今みたいに、服が傷んだら新しいものを買うことが当たり前ではなかった時代。

破れたら、当て布をして縫う。

また破れたら、また直す。

きっと、上手に直すことよりも、

「まだ着たい」

「まだ使いたい」

その気持ちがあったんだと思います。

古着においては"大切にしていた" "愛着があった"と美談にされがちですが、もっとも直して着ていくという選択肢しかなかったのかもしれません。


誰かが着て、誰かが直した。

その行為そのものが、いつの間にか服の表情になっている。


今回のデニムは、まさにそこに着目したシリーズです。

ダメージが入りやすい場所には、破れてから補修するのではなく、あらかじめ当て布を施し、それを刺し子によって留めている。


生地が引っ張られたり、波打ったり、少し歪んだりする。


普通なら綺麗ではないとされてしまいそうな部分を、むしろデザインとして残しているんです。


そして、もうひとつ好きなのが色の落とし方。

裾から上へ向かって、少しずつ色が濃くなっていくグラデーションフェード。

境目をシェービングによって丁寧にぼかしているので、いかにも「加工しました」という色落ちではなく、長い時間の中で少しずつ褪色していったような表情があります。



ヴィンテージを見ていると、そういう狙って作られたわけではない格好良さに出会うことがあります。

僕は、そういうものにすごく惹かれます。


でも、それ以上に惹かれてしまうのが、作り手の愛を感じられるものです。


古いから格好良い。

数が少ないから価値がある。

誰も持っていないから欲しい。

もちろん、そういうヴィンテージならではの魅力もあると思います。


でも僕自身は、希少性そのものや市場価値よりも、

なんでここまでやったんだろう

と思わされるような、モノづくりの手仕事にときめいてしまいます。


誰にも気づかれないかもしれないところまで手を入れる。


効率だけを考えたら、絶対にやらなくてもいいことをやる。

そこに時間を使って、人の手を使って、わざわざ服を作る。

僕は、この“わざわざ”が好きなんだと思います。

希少性や市場価値とはまた違うところにある価値。

「ここまでやる必要あった?」

って思うくらい手をかけている。


でも、その必要のなさにこそ、作り手の愛が宿るんじゃないかなと思っています。


今回のHAND STITCH DENIMも、まさにそう。

刺し子の不揃いなステッチも、当て布によって生まれる歪みも、裾から丁寧にぼかされたフェードも。


一見すると、長い年月の中で偶然生まれたように見えるものを、新品の一着に落とし込むために、ものすごく手をかけている。


希少だから欲しいんじゃなくて、ここまで手をかけて作った人がいるから欲しくなる。


僕にとっては、そういう服の方がずっとロマンがあります。


だから僕は、ヴィンテージそのものだけではなく、

ヴィンテージに残された人の手や時間を見て、それを現代でもう一度、人の手で作ろうとする服にも、とても惹かれるんだと思います。


今回、撮影で僕はセットアップで着てみました。

カバーオールはワークウェアらしい素朴さを残しながら、サイズ感はしっかり現代的。

そしてパンツは、かなり太いです。


腰回りから裾までしっかりと分量を取ったワイドストレート。

横に膨らむというより、ズドンと下へ落ちていく。

個人的には、このくらい思い切った太さがすごく好きです。

上下で着ると、なかなかの迫力。

でも面白いのが、これだけ加工が入っているのに、決して「加工物を着ています」という感じだけにならないこと。


カバーオールと5ポケットパンツ。

元になっているものは、どちらもすごく普遍的な服です。


だからこそ、手縫いや刺し子、当て布、フェードといった強いディテールも、ちゃんと「服」として馴染んでいるんだと思います。


そして何より、

この服は、新品の状態が完成ではない気がします。


ここから着る。

洗う。擦れる。

そしてさらに色が落ちる。

デニムが柔らかくなって、当て布が馴染んで、また新しいアタリや皺が生まれる。


最初から施されている「時間の痕跡」の上に、自分が着た時間がさらに重なっていく。

それが、このデニムの一番面白いところなのかもしれません。



そして今回、もうひとつ個人的に外せなかったのが、


▪︎“PEAKY CATS” PRINT SWEAT


1950〜60年代のアメリカンヴィンテージスウェットをリファレンスに製作された一着。

元ネタは言わずもがな。。


フロントには、デザイナーが愛する大友克洋氏のイラストタッチから着想を得た“PEAKY CATS”が描かれています。


このシリーズの背景にあるのが、劇場アニメ版『AKIRA』に登場する「ピーキー過ぎてお前にゃ無理だよ」というセリフ。


「PEAKY」とは、扱う難易度は高いけれど、特定の状況下では抜群のポテンシャルを発揮するもの。

転じて、特定の分野においてずば抜けた実力を持つ人を表す言葉でもあります。


手作業や天然原料を用いながら、挑戦的なものづくりを続けるHANS。


少量生産で、一点一点にわずかな個体差が生まれる。

均一であることよりも、そこにしかない表情を大切にする。


そんなHANSのものづくりそのものが、“PEAKY”という言葉にもどこか重なる、そんな気も。

これ、めちゃくちゃ良いです。


僕自身、古いスウェットはそこまで好きではないというか、

そもそも着れるサイズ感のものの球数がない。


そして、ヴィンテージそのものをそのまま再現したような服には、最近そこまで惹かれなくなってきました。

もちろん、オリジナルのヴィンテージにはオリジナルにしかない格好良さがある。


だったら、新品で作る意味って何なんだろう。

僕はそこに、そのブランドなりの"今"だったり"らしさ”的なものが入っていてほしいんです。


このスウェットも、ベースにあるのは1950〜60年代のアメリカ。

でも、そこに“PEAKY CATS”というグラフィックが乗ることで、単なるヴィンテージスウェットの再現では終わらない。


どこか昔のアメリカにありそうなのに、たぶん無かった。

この微妙な違和感がすごく好きです。


生地感はわりと薄手なので、テーラードジャケットのインナーなんかにも◎


そして、今回もう一着。


デニムともスウェットともまた違った方向から、HANSらしさを感じたのが、


▪︎DRIVERS JACKET - BLACK MOLESKIN

40〜50年代頃のフランスで製造されていたものをイメージした、超高密度のブラックモールスキン。

モールスキンという生地自体、個人的にすごく好きなんですよね。

ワークウェアに使われてきたタフな生地でありながら、デニムとはまた全然違う。



高密度に織られた生地には独特の滑らかさと光沢があって、丈夫なのにどこか上品。

新品のパキッとした状態も格好良いんですが、これもまた、着込んでからが楽しみな生地です。


デザインのベースになっているのは、50〜60年代頃のフランスのドライバーズジャケット。

ただ、それをそのまま再現しているわけではありません。

同年代のPコートやハンティングジャケットの要素までミックスして、一着のジャケットとして再構築しています。

一見すると、かなり静か。


デニムのような激しい加工があるわけでもなければ、PEAKY CATSのようなグラフィックがあるわけでもない。

でも、よく見ると何かがおかしい。


あれ、これって何のジャケットなんだろう?

そんな少しの違和感がある。

ドライバーズジャケットなのか。

ハンティングジャケットなのか。


どれかひとつに答えを決めるのではなく、それぞれの古い洋服が持っているディテールを拾いながら、今着たいバランスに組み直している。



そしてモールスキンも、やっぱり面白い。

着込むことで表面の光沢が変わって、擦れる場所には少しずつアタリが出て、生地そのものも身体に馴染んでいく。



デニムとは違う速度で、違う表情に育っていく。

このジャケットも、数年後の方が格好良いんじゃないかなと思っています。

こうして今回の服を並べてみると、


HAND STITCH DENIM。

PEAKY CATS SWEAT。

BLACK MOLESKIN。


一見すると、結構バラバラです。

日本の野良着。

1950〜60年代のアメリカンヴィンテージ。

40〜60年代頃のフレンチワーク。

国も違えば、背景も違う。


でも、僕には全部どこか同じ方向を向いているように見えます。

昔の服を、そのまま作るのではない。

昔の服に残された補修跡だったり、

当時のスウェットが持っていた空気だったり、

フレンチワークの生地やディテールだったり。

そういう過去に存在したものを一度ちゃんと見た上で、

「じゃあ、今作るならどうする?」

というところまで持っていく。


だから新品なのに、どこか懐かしい。

ヴィンテージの匂いはするけれど、ヴィンテージのコピーではない。

そして、ちゃんと今の自分たちが着たい服になっている。


今回のHANSを見ていて、僕が一番面白いと思ったのはそこなのだろう。


そして僕はやっぱり、服は着てこそだと思っています。

汚れる。色が落ちる。皺が入る。時には、破れる。


それでも着たい服なら、直してまた着ればいい。

そうやって少しずつ、自分の服になっていく。

今回紹介した服たちも、綺麗な新品の状態を保存しておくための服ではないと思っています。


デニムはガンガン穿いて、さらに色を落としてほしい。

スウェットは何度も着て、洗って、プリントや生地を馴染ませてほしい。

モールスキンは擦れて、皺が入って、自分だけの光沢になってほしい。


新品を買うんだけど、

完成するのは、もっと先。

そんな服が、僕はやっぱり好きなんだと思います。

作り手がたくさんの時間と手間をかけて作ったものを、

今度は僕らが時間をかけて着ていく。


汚して、洗って、擦れて、時には破れて。

そうやって、作り手の時間の上に、着る人の時間が重なっていく。

5年後、10年後。

クローゼットから引っ張り出して、

「最初こんなんだったっけ?」

ってニヤけてしまうくらいが、たぶん一番いい。


ぜひ店頭で、実際に触って、着てみてください。

写真だけでは伝わりきらない部分が、かなり詰まっています。


「これ、何年か着たらどうなるんだろう」

そんなことまで想像しながら見てもらえたら嬉しいです。


僕の幻のSIZE 5も、ここからガンガン穿いていきます。

引き摺って、洗って、色落ちさせて。

数年後、またこのブログで紹介できたら最高ですね。笑



 
 
 

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